”引き留める”ということ 前編

― 塾が生徒を引き留める ―

生徒から辞めたいという申し出があったとき、多くの塾ではすんなり「わかりました」とは言わず、引き留めようとします。
引き留めというより、実質的には撤回してもらうために説得にかかっているケースが多く見られます。
程度は塾のスタンスによってまちまちですが、どんな生徒でもとにかく引き留めるという方針の塾もあれば、成績上位者は強く引き留めるが下位層の生徒は引き留めないという姿勢を露骨に出している塾もあります。

果たして、点数を上げることに失敗した塾が「辞めたい」という申し出を撤回させてもいいのでしょうか。

今回は、この引き留めに関するお話です。

 

 

以前当塾に通っていた泉中のAさんは入塾当時中学2年生でした。入った時期は11月下旬です。
初対面の印象としては真面目そうな感じ。
中1春から近所のある大手塾に通い、個別指導で数学だけを受講していたそうです。
塾の課題も指示通りきちんとこなし、にもかかわらず点数は中1の頃からずっと50点~60点前後を行ったり来たりという具合で、平均かそれよりちょっと下くらいで推移していました。80点は一度も取ったことがないとのことです。
面談に来る直前に行われた2年生3回目(11月)の定期テストでもかなり頑張って60点、このままではダメだと思ったそうで、転塾を決めたとのことでした。
塾で個別指導を受け、家でも毎日欠かさず勉強しているけれど成果につながらない。塾の指示も守っていた。
能力の問題でしょうか、とお母さんは言います。

 

で、問題はここからです。
どうやら一年ほど前から、点数が上がらないことを理由に塾を辞めたいと塾側に申し入れをしていたそうです。それも何度も。
その度に引き留められ、ズルズル一年経ってしまって結局点数は上がらず、今回5教科合計が過去最低点を記録し決断に至ったとのこと。
それを聞いて、思いました。

 

ああ、またか。

年間を通じて何度も思います。
ああ、またか、と。
引き留めて継続させ、点数が上がらないケース。

「大丈夫、ここで勉強すれば80点なんか簡単に取れるようになるよ」
私はいつも、そう約束しています。「別に100点取ったっていいんだぜ」とも言います。
 

その後どうなったか。
学校の先生が作る定期テストは転塾後全部で4回あり、その4回の結果は転塾前60点→98点(2年生最後の2月の定期テスト、入塾から3か月で)、それ以降、3年生1回目から100点、91点、96点という結果で、90点を割ることは一度もありませんでした。
前の大手塾のときにはずっと50点~60点を行ったり来たり、80点までいったことが一度もなかった生徒がです。
お母さんは能力の問題を心配されていましたが、能力は十分にありました。何のことはありません。前の大手塾の個別指導が下手だっただけです。
 

ここでいう下手とは、授業の説明が下手とかそういう話ではなくて、もっと根本的な部分です。
一口に「成績を伸ばしたい」といっても、生徒ごとにそれぞれ課題となっている部分は違います。
勉強を教えるだけで要件を満たす生徒もいれば、勉強以前のところに問題を抱えている生徒もいる。
課題となっている部分が違えば当然アプローチも変わってくるはずなのに、残念ながら多くの塾では十把一絡げに同じ指導、それも『勉強を教えるだけ』しかやっていません。
「下手」とはそのことを指しています。

 
これで上がる生徒というのは誰が教えても上がる生徒であり、姿勢は前向き、自主的に質問し、指示もきちんと守る生徒です。最初から上がるポテンシャルを秘めています。
たまたまその生徒が、『勉強を教えるだけで要件を満たす生徒』だっただけです。


逆に下位層の生徒は勉強以前の段階で問題があるから下位層なわけで、そこの改善をせずに勉強を教えたって上がりません。
しかし勉強以前の部分について改善策を打たず、誰に対してもただコマ数分だけ『勉強を教える』という作業に終始している塾がなんと多いことか。
生徒を伸ばす方法をまるで分かってないな、と思います。
そりゃ上がる生徒も上がらない生徒もいるのは当然です。
結局上がるか上がらないかは生徒のポテンシャルに依存しているだけ。
たまたま入塾時点で『勉強を教えるだけで点数が上がる生徒』であれば上がり、そうでなければ上がらない。
私はこれを「腕が悪い」と呼んでいます。

 

他塾で上がらなかった生徒が当塾に来た途端に飛躍的に上がる理由もこういうところにあります。
各生徒に対する的確な分析、何が足りていて何が足りていないか。それを補うにはこの生徒の場合どうアプローチするのがベストか。
まさに腕の見せ所です。

 

 

まず、生徒側に思考力があるかどうか、まじめかどうか。
この二つの『能力』が入塾時から高い生徒は、たとえ三流講師がただ解法を述べるだけの授業であったとしても上がります。
吸収しようとする姿勢があるので自発的に質問や確認をしてくるからです。
わからなければ聞いてくるし、認識に不安があれば「これって、こういうことで合ってますか?」と確認してきます。「これ以外にどんな場合がありますか?」「これが使えないときはありますか?」と聞いてくることもあります。結果、そういう生徒は講師側に工夫や配慮がなくても上がります。
しかしそうでない生徒は、基本的には自分からアクションを起こしませんので講師側が工夫・配慮・腐心しなければ点数を上げることはできません。
主に中・下位層のことを指します。

 

各ケースごとに説明します。
まじめだけど思考力の低い生徒の場合、点数を上げるのに欠かせない『できるようにする』という意識が欠落しているケースが非常に多く見られます。共通しているといっても過言ではありません。
『〇時間勉強すること(=机に向かうこと)』と『できるようになること』が同じだと思っているわけです。全然違います。何時間やろうとも、勉強のやり方が間違っていれば上がりません。

端的に言えば、まじめなのに点数が低い生徒の大半は、学習する目的が机に向かうことやノートを埋めることと勘違いしているんです。その作業を以て「勉強した」と言っているわけです。頭を使うことを避けています。
 

 

違うんだよ。
作業自体は勉強とは言わないんだよ。
頭を使って理解しないと、できるようにはなっていかないんだよ。

 

まず、これを認識させることがスタートです。
もちろん伝え方に配慮は必要です。やる気がなくなっては元も子もありません。
ただ、上記の内容をきちんと認識させなければ話は始まりません。机に向かってノートが埋まっていれば『勉強した』というわけではない。
机に向かう前と比較して、できなかったことができるようになっているなら勉強したと言えます。そうでなければ勉強したとは言いません。
 

 

初めての土地でA地点からB地点まで徒歩で移動して、次の日も同じ道を通ってAからBまで行かなければならないという状況の場合、一回通っただけでは道順を全部覚えたかどうかって不安ですよね。翌日も行くとあらかじめわかっているなら普通は目印を覚えますし、必要に応じて目印のメモもしますし、翌日は大事な本番があって絶対に遅刻が許されないとなったらもう一回同じ道を通ってちゃんとそれで合っているかどうかを確かめるのが普通の社会人の感覚です。
遅刻したら取り返しがつかないという状況下にあってもなお「大丈夫だろ」と言って確認もせずに翌日遅刻するのが頭の悪い社会人です。

きつい言い方ですが、この頭の悪い社会人と同じことをしているのが成績の低い生徒です。
大丈夫かどうかの確認もせずに本番を迎えて「あれ、なんだっけ」では済まない。済まないのに済ませているわけですから、そりゃ成績が低いのも当たり前です。
本人に悪気はもちろんありません。原因は認識不足。本人なりに一生懸命やってこれなわけですから、いわゆる『勉強のやり方が間違っている』という状態です。

 

この生徒が一生懸命やっているのは勉強ではありません。勉強ごっこです。
頭に入っていないノートまとめ・ノート作りは落書きと同じ。何時間机に向かおうとも、それは勉強ではありません。
しかし本人はそれを「一生懸命勉強している」と言うわけです。間違っています。

解決方法は簡単です。
勉強のやり方や認識について誰からも教わったことがなかったからこんな状態だったので、それを教えて認識を改めさせればいいわけです。
だから、講師はまずそう認識させるのが最初の仕事になります。特にまじめな生徒なんかはそこを直すだけで点数は上がります。
まじめな生徒のいいところは、指示を守ってくれるところです。このタイプは上げるのが容易です。

この場合重要なのは、一通り間違い直しまで終わった後、できるようになったかどうか判断するための作業を欠かさずやらせることです。
簡単な話。「わかった」と思った後に、本当にわかっているかどうかをもう一回自力で解けるかどうかのチェックをすればいいわけです。
A地点からB地点まで、もう一回自分で歩いて確かめろってことです。


「地図を覚えたから大丈夫。行けます」と言う人がいても、その人は「地図を覚えた」だけであって、自力で行けたという経験はまだありません。だから、やってみなければ本当にそれで行けるかどうかなんてわからないんですよ。
『実際やってみたら思っていたのと違った』なんてことは、人生あらゆることについてなんぼでもあります。それを本番でしくじらないよう回避・解決する方法が、「わかった」で終わらせるのではなく、本番前に実際にやって確かめてみるということなんです。
勉強だけでなく、仕事のできる人間は大体こういう概念を当然のこととして持っています。


「説明を聞いて、道順はわかった」で終わってはならない。
だからすべての単元において最低2回は演習が必要になります。

なお、つい今しがたまで答えと解説を読んでいた問題ですから、同じ問題ならできて当たり前です。これすらできなかったら確実に「わかった」は「実はわかっていなかった」の証ですから、きちんと教えなければならない。
問題は、自力で解いている「つもり」でも、実際にはさっき答えと解説を見て覚えたその手順をなぞっているだけ、そしたら答えが一致した、という場合。
これは答えこそ合っているものの理解とは違いますから、こういう状態を防ぐために本当に理解しているかどうかの確認として同タイプの別な問題を講師が用意して近日中に再度やらせなければいけません。あるいは即興で数字やパターン違いの問題を口頭試問するか。
当塾では同じ問題を必ず2周、場合によっては4周。さらに近日中に類題を2周。こういうことを常時繰り返しています。
当然、定着率は高くなる。だから全員上がるんです。
演習量が半端ではありません。他塾がどれくらいやっているか知りませんが、数学においては間違いなく秋田県で一番多くやっていることでしょう。
そりゃ中・下位層はめちゃめちゃ上がるし、上位層は模試で秋田県1位が毎年出ているのも当然の結果です。少人数の塾にもかかわらず、です。

こういうことを入塾説明の段階で親御さんに話すと、必ず浮上してくるのが「そんなに多すぎるとうちの子はやれないんじゃないか」という疑問です。
これにはいつも、「大丈夫です」と答えています。
現に定期テストで20点~40点の学力で入ってきた生徒でもできています。

理由は簡単で、2周目以降はあまり時間がかからないんですよ。
1周目にやる時というのは常に初めての内容ですから時間がかかります。
やることといえば、


1.教わる
2.やってみる
3.間違えたもの、わからなかったものを解説を読み、質問し、理解する
4.もう一度答えを伏せて、サラの状態から解き直す


この4つの過程があります。
初めてなので、2のところでまず時間がかかり、また3と4でも「一発ですぐに正解はできなかった問題」なわけですから、当然解き直すのも時間がかかる。

これが2周目はどうなっているかというと、まず1の教わる段階が最初から要りません。すでに知っている内容を繰り返すわけですから、ここが丸々省かれる。
次に2のやってみるという作業。これも、すでにやっているものを、それも間違い直しをしてサラの状態から解くということを一度経験した問題についてもう一回やるだけですから、当然初めてやった時とは段違いの早さで終わります。しかも正答率だって一回目より当然高いので、間違い直しの問題自体が少なく済みます。
1周目で2時間かかった課題なら、2周目は通常1時間もかかりません。

この、『早く正確に終わる状態』に持っていくというのが非常に重要です。
大人が初めての仕事をするときだってそうです。
まだ勝手がわからない本当に初めての仕事を、一回説明を受けただけで「次から一人でやって」と言われても、自信をもって一人でやれる状態になんかなるわけがないんです。
そんな指示を出す先輩や上司がいたらそいつをまず何とかした方が良い。
最初のうちは慣れるまで指導者の指示を仰ぎ、考え、必要に応じてメモし、繰り返しやることによって早く正確にできるようになるわけです。

 

勉強だって同じこと。
一回やっただけで定着なんかしません。当たり前です。
特に中・下位層の中学生に至っては放っておいたら自主的に繰り返しやって完成度を高めるということはしませんから、絶対にしませんから、当塾ではシステムとして組み込んで習慣化させているわけです。
これが2周目3周目ともなると、当然1周目よりも早く正確に解けますから、半分や三分の一の時間で終わるようになります。時間はかからない。かつ、定着率が格段に上がる。これによる学習効果は非常に高いです。
点数を上げたいなら、繰り返し学習は絶対に必要です。

もちろん、1周目と同じ問題しかやらないならただ答えと式を暗記しただけになってしまう恐れがありますから、類似の問題や別パターンでひねった問題を塾が用意する必要があります。
別な問題でも大丈夫かどうかを改めて講師が確認し、それを以て次に進む。
全員上げるためには、この流れは絶対に要ります。

当塾に入ったら必ず点数が上がるというのは、別に何か特別な魔法があるとかそういうことではないんですよ。こういう当たり前のことを徹底しているというだけのことです。
他塾でこういうことを徹底している塾はほとんどありません。決められたコマ数だけやっておしまい。肝心の繰り返しの部分は生徒に任せっきり。上位層はともかく、それ以外の生徒は任せっきりにしたところで完成度の高い家庭学習などやってきません。
だから、それをやらせきるのも塾の役割なわけです。

 


にもかかわらず多くの塾ではその肝心なところを生徒に任せっきりなわけですから、そりゃウチと違って点数に責任なんて持てるはずがありません。
当塾に転塾してくれば必ず上がるのはこういうところが大きい。

 

講師の立場であれば、初めのうちは生徒が本当にできるようになったかどうかのチェックが講師がやらなければなりません。
相手は認識不足の中学生ですから、軌道に乗って自分でできるようになるまでは講師の補助が要ります。


だから、生徒が「わかった」と言っても終わってはならないんですよ。「わかった、か。よっしゃ、ほんじゃ今もう一回解いてみよう」これが要るわけです。私はもう一度解かせます。
「地図を見たからもうわかりました。大丈夫です」ではなく、「地図を見てわかったので、実際に行ってみました。そしたらやっぱり行けました。もう大丈夫です」の状態に持っていくことが大事です。


また、認識が正しいかどうか、ただ暗記しただけじゃないかを確認するために説明もさせます。
これをしなければ生徒が本当にできるようになったかどうかなんてわかりませんよ。というより『わかったつもりになっているだけでできるようにはなっていない』というのが点数が低かった原因なわけですから、講師側は生徒が「わかった」と言っても実際にはまだ理解が浅いと思って指導に当たる必要があります。

 

生徒への指導の際、なぜそうなるのかが説明できて初めて「できた」となるのであって、なぜの部分が欠落した「できた」は、できたじゃありません。
下位層は大体ここに問題があります。式の意味も分からず、式に数字を当て嵌めればどうやら答えが出るらしいから当て嵌めているだけで、原理が分かってやっていることじゃない。故に問題が変われば掛けていいやら割っていいやらわからなくなる。
だから、答えが出せるだけじゃなく説明ができる状態までもっていく必要があるわけです。
分岐した場合はどうなるか、そもそもどういう分岐が考えられるか、伸ばすならここまで突っ込んで指導するのが効果的です。
下位層は答えが合っていても理屈が分かってない生徒だらけですから、分かったふりになっていないかどうか常に目を光らせてなければいけません。

 

というより、私は下位層の生徒の一回目の「わかった」はハナから信用していません。
点数が低い生徒の主観による「わかった」ですから、説明させてみるとほとんどの場合的外れかあやふやな返答が返ってきます。だから「わかった」と言ってもそれを鵜呑みにしてはならない。


具体的には、説明させている途中でもしばしばストップをかけて「ならこういう場合は?」「もしここがこうだったらどうなる?」など、分岐についても触れ、その場合どうなるかの説明も即座にできるかどうかチェックします。即興の口頭試問です。その変化について即座に対応できればわかっているということです。
これをすることによって、単に式や答えの暗記ではなく本当の理解に至っていることが確認できるわけです。

そしてできるようになるまでその場で指導し、できたことを以て「これが勉強なんだよ」と教える必要があるわけです。そこまで到達していなければ必ず上げるということはできません。
塾側としては根気と時間がかかりますが、やらなければならないんです。
  

聞いてるか? 大手。
高い金取って授業してるならこれくらいやれよ。
やってないから上がらない生徒がいっぱいいるんだよ。

 

大手塾に通っていたにもかかわらず基礎が全くできていない生徒が来るたびに思っています。
生徒が悪いんじゃない。
教え方が悪い。

 


まとめると、中・下位層、特に下位層に対してはまず『君が今までやっていたのは勉強ごっこであって勉強じゃない。”できて”初めて勉強である』と認識を改めさせるのが最初の仕事になります。
最初で、かつ重要な仕事です。
これを疎かにしたままいくら解法を教えたところで、また問題をやらせたところで、定着しませんから何の意味もありません。時間の無駄です。
いつまで経っても「あれ、これってどうやるんだったっけ」と言い続け、点数は上がりません。

机に向かうのが大事なのではなく、〇時間やるのが大事なのではなく、また解説を赤で写すことが大事なのではありません。
最終的に、自力で解けるようになっているのかどうか、なぜそうなるのかを理解して解いているのか、大事なのはこれだけです。
できるようになっているなら30分でも構いませんし、できるようになっていなければ5時間でも足りていません。時間は関係ないんです。

あと、理解することを避けて安易に『解法の暗記』に走るのも良くない。
そもそも数学のテストというのは解法を暗記しているかどうかではなくて知恵を絞れるかどうかを問われているのに、手順の暗記でどうにかしようという時点で方向を間違っています。
高校数学になった途端に意味不明になる生徒は中学の頃からこういう傾向にあります。

 

高校で習う数学って、本来は様々な事象・現象を論理的に説明できたり、美しい法則の懸け橋となる内容をやっているわけですが、その授業は一見すると身近な例から離れすぎていて今何をしているのか全く意味が分からず、ただただ偉い人が発見した公式を覚えて代入するだけという数字の操作を繰り返している生徒が多い。不憫でなりません。手詰まり確定です。
そして、そうなってしまう未来は中学のときに見えているという事実。
したがって中学のうちから未然に防がなければなりません。
だから、考える力を育てなければならないんです。私はそういう指導をしています。

 

中1初期からウチに通っている生徒は皆3年生の実力テストでも高得点をバンバン取ってきますが、それは中1の頃から『自分で考えて解決する』という指導を受けてきているからです。
しかも、これは数学だけじゃなくて学ぶこと全般に通用する概念です。
だから当塾では、数学しか習ってなくても他教科も伸びる生徒が多い。
『こうすれば上達する』という根底の部分は、学び全般に共通しますから汎用性が高いわけです。

 

翻って、まじめなタイプの生徒が現在塾に通っていて点数が上がっていない場合、塾はその生徒に対するアプローチを間違え無駄な作業を延々と繰り返している可能性が高いといえます。
一年経っても上がらないなら、まずこれだと思って良いでしょう。塾が生徒に対して正しい認識を持たせていないのが原因。
その状態でなんぼ解法を教えても身になどつきませんから、これは完全に塾が悪いです。
現に、他塾で上がらなくてウチに来るようになった生徒はこれまで全員がそうでした。
各生徒に対して的確な指導はまるでなされていません。

大手だから安心と思っている方が多いですね。全然違います。
驚くことに、このような症状を抱えて当塾に転塾してくる生徒の多くは近隣の大手塾からの生徒です。ダントツであの塾が多い。判で押したように同じ症状です。
あそこの講師たちは本当に何もわかっていない。塾名を出したいのは山々ですが、出せないのがもどかしい。
もちろんそこだけじゃないです。
酷いのになると、集団授業の塾で寝ていてもスマホをいじっていても講師は諦めて注意すらせず悲惨な点数の生徒だらけの塾もあります(H29~H30年度現在)。
そういう情報が入ってくるたびに他塾に対して憤慨しています。
なんやねん。おこやでほんま。
ちゃんとしようぜ。

 

 

 

 

現在どこかの塾で指導を受けていてその科目が平均点より低い場合、その生徒はまず
・思考力が高いわけではない
・勉強に対する認識が間違っている
のどちらか、または両方を抱えています。
そして担当講師はそれを解決する手段も頭も持ち合わせていません。根本を解決せずに解法を述べているだけです。
数字は嘘をつきません。
附属中と南高中等部のテストならともかく、それ以外の定期テストって滅茶苦茶簡単なテストですから、これで平均以下だったなら要はそういうことなんです。
 

 

 

なお、『まじめだけど認識が間違っているタイプ』はまだ比較的簡単です。
まじめなので指示自体は守ってくれますから。だから、アプローチさえ間違えなければ容易に成績は上げられる。
問題は、まじめでない生徒です。
指示を守らない、宿題をやらない、問題に取り組まずに答えと解説を写してさもやったかのように偽装する、間違えているのに〇にする、間違えている問題を消しゴムで消して答えを写して一発で合っていたように見せる、嘘をつく、これらをいくら注意しても直す気配なし、という特徴を持っています。
このタイプは指示を守りませんから、まず指示を守らせることから指導しなければなりません。指示を守らなければどんな指導も意味をなさない。

これもまじめなタイプと同様、講師の最初の仕事として認識を改めさせることが重要です。最初で、かつ重要な仕事です。これを疎かにしたまま次に進んではならない。
ただ、まじめな生徒と違ってこれを直すのは容易ではありません。なにしろ、それらの不真面目な行為を意図的にやっているわけですから。
まじめな生徒の場合、ただ認識が欠落していただけなのでそれを改めれば事足りる。しかし、意図的に指示に反することを繰り返す生徒は言って聞かせたところで「また説教か」と馬耳東風。聞いちゃいません。恐らく説教に慣れているんでしょうね。親や先生から。だから直すのが難しい。

なお、当塾は転塾してきた生徒に関して言えば平均点にも満たなかった生徒たちが次々と80点90点100点を連発しています。それも卒塾までずっとです。

 

翻って、ようやく冒頭の主張、「こういうことができない塾が、生徒の意思を曲げてまで引き留めていいのか?」と私は言いたいわけです。
よしんば引き留めたとして、じゃあその後成績は上げているんだろうな、と。
 

 
引き留めによってその生徒の今後にどれだけ影響があることか。
大げさでも何でもなく、中学の点数が高校の選択に直結し、どこの高校に行くかによって今後の人生に多大な影響を及ぼすわけですから、塾は「人の人生にかかわるとてつもなく重要な仕事を、プロとして金をもらってやっている」と認識した上で仕事に当たらなければならないと考えています。
半端な気持ちで講師をやっちゃダメなんですよ。
次回、私の考える「引き留めていい場合とそうでない場合」の基準について述べます。

続きは近日中に公開します。